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介護事業者に事業承継M&Aをお勧めする全理由

介護業界の動向

市場規模

  • 65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり、高齢者人口増加に伴い要介護認定者数は増加しており、2042年には高齢者人口がピークを迎える予測(3,878万人)です。一方、75歳以上高齢者の全人口に占める割合も増加しており、2055年には、25%を超える見込みであり、5人に1人が後期高齢者になる試算となっています。65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている超高齢社会を背景に、今後、国内の生産年齢人口は減少し、各産業における深刻な労働力不足を招く可能性があります。
  • 特に、高齢化に伴って需要が増加することが見込まれる介護サービス分野に対する影響は顕著であり、介護サービス分野における労働力不足等による介護サービス不足は、家族の介護を理由とした離職(介護離職)を招き、各産業における労働力不足に拍車をかけるおそれがあるため、この問題は介護業界だけに留まらず、日本全体にとって深刻な問題となっています。
  • また、2015 年 4 月の報酬改定(大幅なマイナス改定)をきっかけに、介護業者の中でも明暗が分かれ、その結果として、同業の買収や異業種からの参入、外部資本の導入による更なる成長など、介護業界をターゲットとしたM&Aが活発になってきております。M&Aの主な傾向としては、①異業種(SOMPO 、ベネッセ、セコム、総合警備保障、学研等)からの介護事業への参入や②同業による M&A (売り手が創業者である場合多く、事業承継の意味合いが強いM&A)、③比較的規模の大きい案件や主要事業の 1 つが介護事業である案件の3つが主となっております。

業界構造

  • 介護事業の特徴は、介護報酬に影響を受け、収入が左右する業界です。
  • 介護報酬とは、事業者が利用者に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に対して支払われる報酬であり、基準額は介護保険法上、厚生労働大臣が審議会(介護給付分科会)の意見を聞いて定められています。
  • 介護報酬には、本体に相当する基本報酬部分と、一定の条件を充足すると発生する加算(減算)が存在し、基本報酬部分は、介護サービスごとに定められているもので、その基本報酬部分に上乗せ・減額されるものが加算(減算)となります。
  • 介護報酬の改定においては、基本報酬部分の引き上げ、引き下げが行われる場合と、加算・減算の新設または、条件強化が行われる場合があり、 昨年2018 年は 2 年に一度の診療報酬と 3 年に一度の介護報酬の同時改定の年であり、団塊の世代が 75 歳以上となり、国民の 25%が後期高齢者となる 2025 年の地域包括ケアシステム構築に向けた、重要な年でもありました。
  • 2019年4月13日、2020年度の介護報酬改定に向けた協議を進めてきた厚生労働省は、各サービスの新たな基本報酬を正式に決定し、2019年10月1日から適用されることになっています。

今後想定される動き

異業種からの参入

  • 介護ビジネスは日本において数少ない成長市場であり、既存事業との相乗効果を狙い異業種からの参入は継続して発生するものと考えられます。例えば、飲食事業者は「食事」を、警備会社は「見守り、安心」を、電機メーカーは 「ICTや最新の電機機器による設備」、住宅設備機器メーカーは「高齢者に安心、安全な住宅設備」等のように本業と介護事業のシナジーを求め、異業種企業による介護サービス事業者のM&Aが活発化すると予想されます。

既存の介護ビジネス事業者の選択と集中を目的とした事業売却

  • 中堅~大手の介護事業者は、自宅にホームヘルパーや看護師などの専門職が訪問して行うサービスを受ける在宅系から、利用者が日帰りで施設などに通い、サービスを受ける施設系、小規模多機能型居宅介護」に「訪問看護」を組み合わせたサービスで、医療と介護のニーズが高い在宅療養者を対象としている複合型まで幅広いラインナップを揃え、利用者の幅広いニーズに応えるだけではなく、事業間でのシナジーを狙ったものと考えられますが、全てのサービスを同様に拡大してくことは困難であるため、事業者の判断により事業の選択と集中を行い、得意なサービスに注力、不得手な事業を売却するという流れが加速すると予想されます。

事業承継に絡んだ中小規模の事業売却

  • 介護保険法施行後 18 年が経過し、施行直後に事業参入した会社の創業者の高齢化が進んでおり、介護保険制度の創設時に事業を始めた経営者が後継者を探す時期
  • にかかってきています。また、介護以外の事業で資金を確保してきたケースも多いと推測され、今後、一定の事業承継ニーズが発生する可能性があるものと考えられます。

ノンコア部門としての売却

  • 前述の通り、景気の波に関係なく、公定価格である介護報酬により業績が左右される介護事業を保有し、事業運営することは介護事業を本業としない事業会社にとってはハードルが高く、ノンコア部門として保有している介護事業を介護事業ビジネスの専業大手に委ねるといった M&A が発生してくると考えられます。

価値評価方法

  • M&Aにおける企業価値評価の方法は、純資産額をベースにした「コストアプローチ」、将来の収益予測による「インカムアプローチ」、類似会社の株式市場での価値をもとにする「マーケットアプローチ」の3つがあり、医療機関の場合、非営利組織であるため、マーケットアプローチは適用できません。
  • 現時点の財務数値ではなく、買収後の事業計画を策定することにより、トータルの価値を把握することが重要です(買収の一義的目的は、技術や人を含めた無形資産の獲得にあるが、それを事業計画に落とし込むことが求められます)。
  • 加えて、Replacement Value(貴社が自前で事業開発した場合のコストとの比較)、Time to Market(“スピード”の価値)、Scarcity Value(対象会社と同等の買収対象がどの程度存在するか)といったポイントについても検証を行い、総合的に買収の意義と価値を検討していくことが重要となります。

介護業界のM&A

買い手メリット

  • 事業規模の拡大
    同業が介護事業を買収することにより、売上高の増加による規模の拡大に加え、介護サービスのエリアの拡大や事業拠点を増やすことが可能となります。
  • シナジー効果
    前述した通り、飲食事業者は「食事」、警備会社は「見守り、安心」、電機メーカーは 「ICTや最新の電機機器による設備」、住宅設備機器メーカーは「高齢者に安心、安全な住宅設備」等、異業種からの参入のケースでは、他業種とのシナジーが期待できる部分が多く、参入にあたって自社の専門分野を活かすことが可能となります。
  • 良質な人材の獲得
    介護業界は同業他社との人材獲得競争が激しく、他産業に比べて、労働条件等が良くない等の理由により、良質な人材の獲得が難しいため、M&Aを行うことにより、有資格者等の良質な人材を獲得することが可能となります。
  • ノウハウの獲得
    介護事業に新規参入することにより、介護ビジネスに関するノウハウを獲得することが可能となります。
  • 許認可の引継ぎ
    「居宅介護支援事業者」や「介護予防サービス事業者」などの許認可を引き継ぐことが可能となります。

買い手のデメリット

  • クロージング手続きの煩雑さ
    サイニング以降、両社による行政担当者とのM&Aのクロージング時期や関連手続き等の必要事項について相談する必要があるため、あらかじめ行政手続きのスケジュールを把握し、クロージングまでのプロセスを管理しておく必要があります。
  • 事業譲渡と株式買収の違いに留意
    事業譲渡によってM&Aを行った場合、契約関係は引き継がれないため、従業員の雇用契約をはじめ、利用者との契約、不動産の賃貸借契約などを基本的に結び直すことになります。

過去の事例

学研ホールディングス、日本ケアサプライ、ウチヤマホールディングス、ソラスト、シダー、ロングライフホールディングス等が主要プレイヤーとして挙げられる一方、2000年度の介護保険制度の始まりによって、医療事務のニチイ学館、教育事業のベネッセ、警備会社のセコム等の異業種から介護ビジネスに参入した企業が相次ぎました。異業種による介護業界企業の買収例は下記の通りとなります。

  • 損保ジャパンによるメッセージの買収 介護事業に本格参入
    損保ジャパンHDは、高齢者住宅大手のメッセージを買収すると発表。2回にわたり公開株式買い付け(TOB)を実施し、メッセージ創業者で代表取締役会長の橋本俊明氏個人や資産管理会社、親族所有分の約7%を含む株式の取得を推進。出資比率を現在の3.5%から51%以上に引き上げ、連結子会社化する。取得価額は260億円以上を見込む。
  • 生損保 介護市場で競う 損保ジャパン、ワタミから買収発表
    損保ジャパンHDはワタミの介護の全株式を買収し100%子会社化。2012年に34%を出資し関連会社化したシダーを含めると、グループ全体の介護事業の売上高は約1251億2700万円(2015年3月期)と、ニチイ学館(東京都千代田区)の約1444億円(同)に次ぐ業界2位の規模となる。
  • リゾートトラスト、高級老人ホーム運営会社を買収
    会員制リゾートホテル事業などを手掛けるリゾートトラストは都内で4つの介護付有料老人ホームを運営するボンセジュールグランの発行済みの全株式を取得し、100%子会社化すると発表。グループのシニア事業を発展させる上での基盤としたい考え。今回の買収により、シニア事業の運営居室数は438室、売上高は約33億円となる。同社では将来的に運営居室数1000室を目指すとしている。
  • ソニーが介護事業 首都圏に有料老人ホーム
    ソニーフィナンシャルホールディングスは、有料老人ホームの運営会社を買収し、介護事業に参入したと発表。75歳以上の後期高齢者が増加する首都圏に有料老人ホームを新設。生命保険、損害保険、銀行の既存3事業に次ぐ第4の柱に育てる方針。ソニーグループが介護施設を運営するのは今回が初めて。
  • 大和ハウス、東電の介護子会社を買収へ
    大和ハウス工業は介護事業を手がける東京電力子会社を買収。買収額は数十億円程度。介護関連事業を今後の成長分野と位置付けており、買収を機に首都圏で事業を拡大。東電は本業との関連が薄い事業の売却を進め、経営再建を急ぐ。買収するのは、東電の全額出資子会社の東電ライフサポート。2000年の設立で、都内や横浜市などで介護付き有料老人ホーム「もみの樹」の運営を手がける。
  • ドラッグストア大手のココカラファインが介護支援事業のタカラケアを買収
    ドラッグストア持株会社、ココカラファインホールディングス傘下のセイジョーは、介護施設運営のタカラケアを買収。親会社でビルメンテナンス事業のタカラビルメンから、タカラケアの全株式と茨城県龍ヶ崎市にある介護施設を合わせて2億3000万円で買い取る。 タカラケアの2009年2月の業績は、売上高が2億3500万円、営業利益が3000万円。セイジョーは介護事業に進出しており、タカラケア買収で同事業の強化を図る。
  • 明光ネットワークジャパンが福祉サービス会社のライフサポートを買収
    明光ネットワークジャパンは、福祉サービス業展開のライフサポートの株式40%を取得し、持分法適用関連会社化。同社に役員も派遣。ライフサポートは、認可保育所・東京都認証保育所「ゆらりん」等の保育事業と、介護付有料老人ホーム「悠楽里(ゆらり)」等の介護事業の両輪で福祉サービスを展開し、2011年9月期の売上高31億円、営業利益37百万円。保育事業における若年層の顧客拡大に向けた事業展開の一環として、介護事業における生涯教育に向けた事業展開の布石として、同社を関連会社化。
  • ALSOK、訪問医療マッサージ会社買収
    綜合警備保障は訪問医療マッサージのケアプラスを買収すると発表。投資ファンドなどから、全株式を取得。買収額は約20億円。傘下に収めることで、ALSOKは高齢者向けサービスを強化。ALSOKはグループで展開する訪問介護の利用者向けに医療マッサージサービスを導入。運営する介護施設の入居者にも提供する。顧客を相互融通することで、収益拡大を目指す。ケアプラスは北海道から福岡まで全国15都道府県に展開する。国家資格を持つマッサージ師を500人程度抱える。2018年3月期の単独売上高は、前の期比17%増の13億9400万円。
  • ALSOK、埼玉の介護会社買収発表 施設介護に本格参入
    警備大手の綜合警備保障、介護会社のウイズネットを買収すると正式発表。発行済み株式の約70%を取得。取得額は明らかにしていないが、数十億円とみられる。ALSOKは訪問介護などに進出していたが、ウイズネットが得意とする施設介護にも本格参入して収益源に育てる。高齢化で需要が高まる介護分野を開拓し、家庭向け警備サービスの契約者が介護を必要とするようになっても提供できるようにする。警備員による駆けつけや見守り端末を介護事業でも活用し、相乗効果を高める。ウイズネットは埼玉など首都圏で約80カ所運営する認知症対応グループホームや約40カ所ある介護付き有料老人ホームなどに強みをもつ。売上高は2015年3月期に176億円。

M&A総合アドバイザーズの強み

M&A総合アドバイザーズでは、これまでに200件以上ものM&A案件・株式譲渡・合併・会社分割・株式交換・株式移転・事業譲渡・資本業務提携・グループ内組織再編案件を取り扱っており、M&Aに関する高い専門性と豊富な経験がございます。

また、M&A総合アドバイザーズには、M&A総合法律事務所・M&A総合会計事務所が併設されています。弁護士・公認会計士・税理士とも協働してM&Aに対応いたしますので、ここでも信頼と安心が違います。

介護業界のM&Aにおいても、非常に数多くの実績がございます。

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